素晴らしいIT経営指南書 あなたの会社の強みを活かしなさい
◎ あなたの会社の強みを活かしなさい
誰かのブログ記事でこの本を知り,
図書館で借りて読んだ。
武蔵野というダスキンの代理店の会社で成功している,小山昇という社長の著作。
2000年に日本経営品質賞というのを受賞し,
この前後から経営方法が変わったそうだ。
経営者の書いた本であるにもかかわらず,
中身は如何にITを活用するかが主体。
単にIT,コンピューターと言っている訳ではなく,
機械,ツールを活かすために,何をすべきかを語っている。
経営者,特に中小企業の経営者向けのIT活用の教科書のような本。
終わりの章には,武蔵野の組織から方針,歴史,データの活かし方の工夫など
そのまま使えそうな情報も満載。
特に気になった言葉
43ページ
組織は,「感情」と「情報」の両輪となったマネジメントが必要です。
60ページ
利益が出たら,最初に将来の客数を増やすための投資をする。次に人の成長を促すための投資,三番目にインフラの整備で,とくに先端技術を取り入れる。経営利益はその次。
64ページ
インプットはデジタルでなければダメ。しかし,アウトプットはアナログだと。
情報を集めるのは,デジタルが効率はいい。では,それを「見える化」はどうでしょう。データがコンピューターの中にあっても,誰も見ません。何度も言っているように,面倒くだいことをやらないのがまともな人。表を見ておけと言っても,見ないのが普通の人です。
71ページ
私は昔は暴力社長で,そういう社員を捕まえて,コツンとやったり脅かして,とにかく感心を払ってきました。そして排除せず,積極的にいろいろなことをさせた。もちろん一筋縄ではいきませんが,排除しないことが伝われば,もともとは頭は良いので,人が変わったように成長した。最後尾の人が変われば,あとは楽です。雪崩を打ったように会社は変わります。
74ページ
そこで営業支援システムのソフトを自社開発して,お客様のクレーム情報や問い合わせ情報の履歴を残す仕組みを作りました。履歴がわかるソフトを作れば見るかといえば,やっぱり見ないです。
営業支援システムを活用するために,私は連絡ノートを捨てました。いままでノートをみなかったが急に不安になり,みんな履歴を見るようになった。
84ページ
我が社のお客様は,エリアに密着している一般家庭のお客様と,さまざまな業種・業態の法人のお客様に分かれます。それぞれの事業部は,地域別ではなくマーケット別に分けています。
86ページ
キャンペーンはきっかけづくりです。昔はこれに気付かず,単純に売れるか売れないかにこだわりました。お客様とコンタクトしても,将来に繋がる明確な情報を吸い取れなかった。
94ページ
「お客様とフェース・トゥ・フェースで接するところはできるだけ効率悪く」と教えています。逆に「お客様から見えないバックヤードは徹底的にデジタル化して,効率よく」
97ページ
法人のお客様は,基本的に決裁者を訪問するようにと指導しています。決済する人か,それに準ずる方にアプローチすると,話が早い。これは法人営業の鉄則です。
102ページ
合理化とは,「手抜きをする」ことです。要らない仕事をやめてシンプルにする。これが合理化です。要らない仕事をやめないで,そのままIT化するといま以上に仕事が増えて,複雑になるだけです。会社は管理をすればするほど,管理コストが増える。最高の管理は,「何もしない」。何もしないわけにはいかないので最小限の管理をする。これが重要です。
141ページ
IT導入の成功企業の共通点は,現業を強化する手段としてIT化した企業は比較的成功しているのに対して,自社の弱い部分をITによってカバーする企業は例外なく苦労している。
この本を購入して,何回も読み直したほうがいいようだ。
小山昇さんは何冊もの著作があるので,他の本を読んでみよう。