ホノボノとした中年女性の恋話 千日紅の恋人

◎ 千日紅の恋人


推理小説かと思って買ったが,普通の小説だった。


千日紅は,”せんにちこう”読む。
著者の帚木 蓬生は,”ははきぎ ほうせい”と読む。
難しい漢字が多い。


亡くなった父親が作った古いアパートの住人との関わり,事件,
母親とのやり取りなどを中心に
若い男性と恋をする。
淡々と語られる生活で,ホノボノとした話。


著者は音楽とか歌への思いも強いと思われる。
母子で通うカラオケ教室の先生の口を通して語られる
音楽,歌への言葉が,素晴らしい。

歌は押し付けてはいけない。演説ではなく,語りなのだから。


歌いこみなさい。何回も何回も。でも,慣れてしまったらいかんよ。本職の連中がそうじゃろうが,何千回も歌っているうちに,古い輪ゴムのようにだらけてしまっている。おまけに聞くほうも聞くほうで,ありがたいお経を聞かせてもらったつもりになって,拍手をする。双方が馴れ合っとる。歌はそんなもんじゃなか,千回歌えば,先回の違った味が出る。

当たっているようだ。


他の帚木さんの本も読むかな。