明るい重病人

友人の見舞いに行った。


数年前に引っ越した隣人。
20年くらい隣人で、
夫婦ともども同年代で
子供も同年代で子供の小学校も一緒だったし、
いろいろと行き来があった。


旦那は昔から心臓が悪く、
数年前に脳溢血で倒れ、少々良くなってきたが
今度はガンになった。
心臓、脳溢血、ガンという、日本の3大疾病にかかってしっまった。


合ってもどう対処すればいいのかと思ったが、
意外と明るい。
本人はニコニコしている。
声が出ないので、うるさかった男が、ニコニコとカワイイ、ジジイになった。


私と同じA5の小さいノートに絵と漢字でメモを沢山書いている。
それを自分で読み直しながら、ニコニコしている。


自分で思ったことを書き綴っているそうだ。


外面的には脳溢血が一番影響している。
左脳に障害があるので、右半身が悪い。
足は引きずって歩けるが、
右手はダメ。
声が出ない。


右耳は弱いようだが、聞くことは殆ど問題ない。


壁にあいうえおのひらがなの50音表が貼ってある。


何かと思ったら、
漢字は読み書きできるが、ひらがなが読み書きできない、
ということで、ひらがなを勉強するために50音表が貼ってあった。


これは、先日読み終えた内田 樹さんの日本辺境論に書いてあったこと。


養老先生からの受け売りと書いてあるが、
P225辺りに、
脳の一部に損害を受けて文字が読めなくなる事例がある、とのこと。
欧米語諸国では失語症の病態は1つしかない。
しかし日本人の場合は病態が2つある。
漢字だけが読めない場合とかなだけが読めない場合があるそうだ。


この本の説明をしたら、面白がっていた。



3大疾病を患いながら、ニコニコと現状を楽しんでいるような友人。
生命力がありそうで、あと何年も生きられるよ、
これからひらがなを覚えていく進化を時々見に来るよ
と言って帰ってきた。