未来社会予測だと思う なんでコンテンツにカネを払うのさ?

◎  なんでコンテンツにカネを払うのさ? デジタル時代のぼくらの著作権入門


非常に面白い対談だった。
”デジタル時代のぼくらの著作権入門”と副題が付いているが、
著作権の話しから始まるが、
内容はデジタル社会の未来予測だと思った。


福井 健策さんという著作権に詳しい弁護士と
いつまでもデブと思うなよ で有名になった岡田 斗司夫さんの対談。


始まりは自炊業者の著作権の問題から始る。
福井さんが問題点を説明すると、
岡田さんが、こう考えたら、こういう状況だととどうだと、
話しがどんどん膨らんでいく。


後半では、福井さんの全メディアアーカイブ構想に
いろいろな機能を追加して行き、
最終的には、コンテンツの流通構想、支払構造の話しに行く着く。


その裏には、食っていけないクリエーターへの思いがある。


素晴らしい、未来論だと思った。


しかし、現状での著作権自身の話は少なく、
副題にある”著作権入門”は少々違うようだ。



コンテンツ、著作権、ポイント通貨などで王国を作ろうとしている、との話しだが、
私自身は、インターネットのおかげで、国家という枠が崩れるのでは、と以前から感じている。



以下、気になった部分のメモ。


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逆に言うと、ネットに公開してコピーできるようにしたことで、いろいろな人が本の中身を引用できるようになった。引用されると、本は売れます。今の世の中では、「知られていない」ということがいちばんまずい。それより、全文をコピーできるようにして知られるようにした方が、クリエイターにとっても有利になる。それが、ロングテール社会の特徴だと思います。



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減りもしないし管理することも出来ない情報なんてものは、必然的に自由流通にならざるを得なかったともいえます。
その点からすると、著作権というのは、本質的に無茶な仕組みなんですよ。情報は独占管理しづらい上に、減らないものをあたかも減るかのように扱おうというのですからね。二重の意味で、著作権には無理があります。


情報が少なかった時代に、これを管理するための法律を作っておこうとして生まれたのが、著作権法じゃないかという気がします。



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著作権は、確かに厄介な存在です。しかし、100年以上の期間をかけて構築されてきた、血と汗の結晶でもあります。だから、生半可なことで突き崩せるようなヤワな相手じゃないんですよ。



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引用は法律で認められているのだから、別に「冒険」でも何でもないじゃないかと言われるかもしれないけれど、実際どこまでが引用で許されるのかはグレーの領域も大きいですね。



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つまり、彼女たちが本当にお金を出したいのは、そのバンドが作るコンテンツに対してじゃない。自分たちが好きなバンドを支えているという喜びに対してお金を払っているんです。



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ライブ会場で変えるのと同じグッズがその辺のコンビニでもっと安く売っていたとしても、そんなに売れないでしょう。それは、コンテンツそのものじゃなく、臨在感を買おうとしているかえらということですね。

書籍をめぐる状況がどうしてこんなにグチャグチャになっているのかというと、値段に意味がないからです。2700円という1種類の値段しか用意されていなくて、これが古本屋ではいきなり100円や200円で売られている。そうではなくて、出版社はもっと売り方のバリエーションを増やすべきなんですよ。



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コンテンツホルダーやクリエイターを圧迫しているのは、海賊版だとか違法コピーじゃなくて、無料の作り手がこんなにいるという事実そのものなんです。



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お金に変換すると、消費税を払わなくちゃいけないし、収益を上げたら所得税を払わないといけない。でもポイントだったら税とは無関係。こうした「貨幣忌避通貨」が近い将来、主流になると思います。