素晴らしい人間観察 ガーデン・ボーイ

◎ ストロベリー・ロード〈PART3〉ガーデン・ボーイ


やっと読み終わった、
石川好さんの南カリフォルニアでの1965年から1969年の4年間の生活の
3部作の最後の1年、
1968年夏から1969年初夏までの1年間を
ガーディナーとして過ごした1年の話。


この前の1年間はお兄さんが始めた自分たちのストロベリーファームと
大学での生活の話が2部目の作品。


このファームはイチゴ価格の暴落で潰れてしまい、
石川さんは日本人が多く働くガーディナーとして働く。


この3部目では、ガーディナーの仲間の日系人
日本で子供時代を過ごしたアメリカ人など
人間の描写が面白い。


場所も私の知っている地名、一時期よく行った場所が出てきて面白い。
あの辺りでイチゴ畑を見たことはないなと思っていたら、
あとがきで、1994年に行ったときには農地はなくなってしまい、
住宅街になっていたとのこと。
私が通っていたときは、1999年だから当然だな。


1部目では、日本人、日系人アメリカへの移住者などの
人間模様、人生観などへの考察的な説明が多かったが、
3部目では、考察は少なかったと思う。
カリフォルニアで当時働く日系人の話として面白い。


ガーディナーという仕事の呼び方は聞いてはいた、
庭師と言うよりは、
家周りの庭掃除という感じの仕事のようだ。
叔母の住むミシガン州でも芝刈りなどを頼むと言っていたので、
これに該当するようだ。



気になる部分


169ページ

言葉は、それが正確に話されただけでは、まだ本当の言葉ではない。音声の強さ、その音声を発する時、ふっと演じる仕草、それらが渾然一体となって初めて母国語になるとアンダーソン氏は言いたいのだ。

日本育ちのアメリカ人が、アメリカへ戻って、
日本語風にアクセントのない、身振り手振りに書ける英語の話し方を
学校の友人に変だと言われての発見。

日本のアメリカンスクールで習ったし、日本に住んでいたアメリカ人たちからも聞いて知っていました。でも、あれほどひどいとは思いませんでした。わたしは、どちらのトイレに入るべきか、悩んだのです。

日本育ちのアメリカ人が、
アメリカに戻り、南部を旅したときに
初めて目にした黒人差別の実態への驚き。



アメリカ、カリフォルニアに興味のある人にはお勧めの3部作です。


ストロベリー・ロード〈上〉 (文春文庫) 1部目の上巻
ストロベリー・ロード〈下〉 (文春文庫) 1部目の下巻
ストロベリー・ボーイ―ストロベリー・ロード PART2 2部目
ストロベリー・ロード〈PART3〉ガーデン・ボーイ 3部目