面白い切り口の小説 噂の女 奥田英朗
◎ 噂の女
金曜日に空き時間に寄った本屋で購入。
読み始めたら面白く、読み進んでしまった。
10章の小さな話から成り立っている。
短編集かと思ったら違っていた。
アプローチ、語り方が面白い。
貧しい家の目立たない女子高生が短大で派手になり、
考え方、性格、生活が変わる。
男をだまし、男を替えて、のし上がっていく女性になる。
話は中古車販売店の事務員から始まる。
全10話は、この女性に関する周りの人々が語る。
各章はこの主人公とは違う人から始まるが、
段々と話の中心はこの女性になる。
各章は、結論は語らず、想像させるだけ。
章が進むと、段々と話がつながっていく。
保険金詐欺事件がヒントになった作品のようだ。
小説内では滋賀県柳ケ瀬の方言なのだろう、
「たわけ」などがあちこちで使われている。
田舎の世界の狭さ的な話があちこちで出てくる。
今まで、こういう話、語り口の進行は読んだことがない。
面白い本です。