日本には危ないことだらけ 下流老人

◎ 下流老人 一億総老後崩壊の衝撃 (朝日新書)


3ページ目「はじめに」

近く老後を迎える人々の生活にも貧困の足音が忍び寄っており、「一億総老後崩壊」ともいえる状況を生み出す危険性が今の日本にある



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各社が報じている以上に、日本の高齢者の格差と貧困は極めて深刻であり、今後も一層広がっていくことが容易に想像できる



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現役時代の年収が400万円前後、つまりごく一般的な収入を得ていても、高齢期に相当な下流リスクが生じる


本書では下流老人を「生活保護基準相当で暮らす高齢者およびその恐れがある高齢者」と定義する



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現在推定600万〜700万人はいるであろう下流老人の実状と、その社会的な背景、未来予想図とともに、貧困に対する自己防衛策なども提示していく。



と始まり、
1章から、下流老人の現実、実例、誰もがなり得る可能性の説明が続く。


何となく感じていた、判っていたことだが、
数字も含めて説明されると、ショック。


問題として、
・努力が足りないから、自己責任だからということで、
 生活保護を受けることを恥じる、またはバッシング
・大家族など昔ながらの生活を想定した制度の問題
・自己申請前提の制度のために、制度そのものを知らないこと
などが挙げられている


確かに、
自分でも老後は子供の世話にはなりたいと思ってはいないが、
貯蓄はないし、
年金以外の収入の手段は確保していないし、
年取っても働ける確約はない。


気になるのは、申請前提での保護制度。


昨日読んだ記事は、老人の話ではないが、
公営住宅からの強制退去執行日に
中学生の娘を殺してしまい、
自分も自殺をしようとしていた母親の話。
ダイアモンド・オンラインの記事:中2娘を殺害した母親を、私は責める気になれない


これは、
・収入が非常に少ないにも関わらず、正しく生活保護を申請せず、
・対面を保ったために、他人からはお金に困っている状況が判らず、
地方自治体の対応も、実状を見ようとはせず、規定通りに処理
結果、無理心中事件となった。


これは老人の事例ではないが、
この本で指摘している、
生活保護を恥じること
・保護制度の理解不足、説明不足
・援助が必要な人々の探し出し
などの問題と同じだ。



この本では、
実状を書き出し、問題の指摘をしているだけでなく、
後半では、予防方法、対処方法、気持ちの持ち方などの説明もあり
少々安心。


特に、年取った時に、地域から孤立してしまう問題が大きいようだ。
年取って動けなくなる前に、
地域に溶け込み、周りの人々と仲良く暮らすことが良いようだ。


我が親父を見ていると、
この土地で60年ほど商売、生活をし、
引退後は老人会でも活躍し、
一人では出歩けなくなった今でも、
時々近所の人、昔の老人会の人々が
声を掛けにやって来てくれる。


ありがたいことだ。


しかし、これも息子一家と一緒に暮らす、
昔ながらの家族生活だから、成り立つのだろう。



この本、下流老人 は、多くの人に読んで欲しい本です。


今は関係ないと思っている若い人にも、
いや若い人ほど、自分の近未来への準備のためにも
必読の本だと思います。