マイノリティーの考え方が判る 底辺のアメリカ人

ドキュメント 底辺のアメリカ人 (光文社新書) 林壮一


この著者の書いたアメリカの寂れてしまった田舎町のレポート
寂れ行く地に残された人々〜「米国の夕張」ヤングスタウン を読んで、
アメリカのゴーストタウンなどに興味を持って、この本を読んだ。
日経ビジネスの、この連載レポートは、アメリカの現実を語っているようで面白い。


この本は、オバマの大統領選の戦いに向けて、
アメリカのあちこちの町でのマイノリティーへのインタビューで
マイノリティの考え方、生活、政治などを語っている。


始めのほうは、つらい生活の話ばかり。
暗い話ばかりで、読むのを止めようかと思った。
特にデトロイトの話、黒人の厳しい生活、差別などは辛くなる。


しかし、中盤から段々面白くなる。
あちこちの町の生活、町の様子も面白い。


後半から、オバマが段々と優勢になっていく様子、
オバマの演説の上手さで聴衆がトランス状態になっていく様子から
読んでいるだけで気持ちも盛り上がる。
黒人だけでなく、多くの白人もオバマを応援する様子、オバマへの期待が判る。


しかし、元々はオバマを押していた、日系ボクシングトレーナーが、
オバマはスピーチで聴衆を煽っているだけで、具体的な政策が見えない”
と、態度を変える辺りが、現在のアメリカの一番の心配事のような気もする。


ここまで詳細に、アメリカの現実の生活、移民、マイノリティの実情を書いた本はないのだと思う。
アメリカの現実を知るためには必読の本のように思う。