フィリップ・グラスの魔術

◎  Philip Glass: The Photographer / FM 37849



1982年の録音のようだ。
演劇のバックミュージックとしての作品。


丁度この頃、カーネギーホールフィリップ・グラスを聞いたが、
非常に統制の取れたミニマルミュージックだった。
針一本落ちても、カーネギーホールに響き渡るような静寂が客席を包んでいた。
当時は、この音楽をミニマルミュージックと呼ぶことも知らなかったが、
非常に感激した、素晴らしい演奏だった。


一番後ろに近い席で聞いていたが、終演後、隣にはリー・コニッツが居たことに気が付く。
その後出口では、当時はまだスイングジャーナルの記者だった林さんと出会い、
お互いに、こんな音楽も聴くんだと言い合った。
当時はジャズファンで、この手の音楽を聴く人は少なかった。


このレコードを今聞くと、
コンサートの方が統制が取れた音だったように思う。


20年ほど前には、東京の天王洲で舞台音楽のフィリップ・グラスを聴いたが、
期待していた音楽とは違っていた。
このレコードでも既に舞台音楽を演奏している。
始めは舞台音楽ではないと思うのだが。


フィリップ・グラス@Wikipediaから

ラヴィ・シャンカールとともに仕事をし、かつ徹底して加算的なインド音楽のリズムを知ったことが、グラスに特徴的な様式を発展させた。アメリカに帰国したグラスは、以前のミローやコープランド風の構成を離れ、附加的なリズムとサミュエル・ベケットの影響を受けた時間構成に基づく簡素で禁欲的な作品を書きはじめた。ベケットの作品に対してグラスは実験的演劇のための作品を書いている。伝統的な演奏家と演奏会場に共感を見いださなくなったグラスは、フィリップ・グラス・アンサンブルを結成し、主に画廊で演奏活動を行うようになった。こうした画廊はミニマル・ミュージックと美術運動であるミニマル・アートが実際に出会う唯一の場所であった。

ミニマルとインドが関係しているとか、
早い時期に舞台音楽にも関係していることなど、
中々面白い。
いつもながらWikipediaはお勉強になる。


同じような音、メロディを積み重ねながら、少しずつずらしていくことで、高揚感が出てくる音楽。
ミニマルも面白い。


B面も続けて聞いていくと、
高揚感がドンドン上がって行き、
何となくトランス状態になりそう。
音楽のトランスもこんな感じなのだろう。
トランスの緩やかな低音のドンドンというリズムと音がトランス状態に近くなっていくと思う。


B面中盤では、トランスと同じように煽り立てるように、
音をたたみ掛けていき、可也高まって行ったときに、
音を切って、谷へ落とすような、ニクイ作曲になっている。
体がムズムズして来て、居ても立ってもいられなくなる。
チキショウ、もっと大音響で聞きたい。


B面の1曲で19:17のActIIIの方が、A面より高揚させてくれる。


フィリップ・グラスの魔術のようだ。



◎  Koyaanisqatsi: Life Out of Balance [Original Soundtrack] / ASTA 1



カヤニサッティという映画の音楽(?)
出だしの男性の低音のコーラス以後、
フィリップ・グラスの作曲法は他と変わらない。
音の積み重ね、少しずつの変化、急激な変化で高揚感をあげる。


1983年の録音。


Wikipeiaではコヤニスカッツィとカタカナ表記されているが、
私には”カヤニサッティ”と聞こえた。


元々の映画はKoyaanisqatsi: Life Out of Balance (Dol Dts) [DVD]ドキュメンタリーのようだが、
この映画の話は聞いたことがない。



参考:
ミニマルミュージック@Wikipedia



◎  Philip Glass: Music in Twelve Parts / Parts 1&2 / CA2010


1974年の録音の様子。
自分にとっては最初に買ったフィリップ・グラスのレコードだと思う。
これも良く聞いたレコード。
始めは少々単調過ぎる。
盛り上がり方などは、Photographerなどの方が良いか?
始めだけのことか?可也たってから、聞きなれた曲想(?曲調)になる。
というより、A面の殆ど終盤に入ってから、いつもの曲調になる。
ミニマルで同じようなリズム、メロを刻みながら、
段々と音も大きくなりながら盛り上がりを予感させている中で、突然曲が終了。


ということは、年代別に聞くと、
フィリップ・グラスの作曲方法の変化が判るかもしれない。
判ってもしょうがないか。
フィリップ・グラスの全録音を聞くのも疲れるか。


面白いことに、日本語のWikipediaでは、
この録音が作品リストの後半に出てきて年度も書かれていない。
英語のWikipediaでは、ちゃんと1967~1974の初期の作品となっている。
Wikipediaも確認が必要。


B面は始めから聞きなれたミニマルになる。
昔はB面ばかり聞いていたのかな。
これがPart2だと思うが。


レコードと同じジャケット写真がないのでAmazon.comも検索。
ない。Amazon.comに中古レコードでもないのは珍しいのか?
まあ、1974年と書かれたレコードだからな。


Discogsもジャケ写はないが、録音情報がある。
Philip Glass - Music In Twelve Parts - Parts 1 & 2
本当に、ここには録音の情報は沢山ある。
特にジャズ系。



参考:
Philip Glass @ Wikipedia http://en.wikipedia.org/wiki/Philip_Glass



◎  North Star / Philip Glass / VIP-4174



このレコードは昔はそんなに好きではなかったが、
何枚も聞いてくると、フィリップ・グラスらしい作品。


AMAZON.CO.JPで探したCDのジャケットと、持っているレコードはジャケ写が違う。
しかしCDと同じジャケ写のCDだかレコードも持っている。
同じ録音を2枚持っているようだ。


1977年の録音。
これも映画音楽のようだ。


Philip Glass(kb), Dickie Landry(sax),Gene Rickard(v),Joan LaBarbara(v)
というメンツでこれだけの音楽を作るのも凄い。
多分、可也の多重録音を重ねているのだと思うが。



これで先日探し出したフィリップ・グラスのレコードは全て聞いた。
少々フィリップ・グラスに食傷気味。
まだ2,3枚のレコードとCDがあるはずだ。



今度一度、日本のミニマルの一人者とか聞いた平石博一さんを聞いてみたい。
コウさんと時々演奏するようなので、行って見るか。


何だか、いっぺんに昔のミニマルの世界に戻ってしまった。



参考:
・平石博一さんのサイト http://hiraishi.info/