音楽を科学的に説明 響きの科楽

◎ 響きの科楽


物理的というのか科学的に音楽を説明した本。
但し、データなどを使った難しい説明ではなく、
科学的というのか論理的な説明で判りやすい。


昔、本当に物理的音楽を説明している本も読んだが、
これは読むことに挫折した。
物理的な説明が難し過ぎた。


雑学的な話も多いが、興味ある話が多い。


この手の本は、音楽を演奏できる人でなく、
私のように、音楽そのものは判らない人が読むのだろうと思う。


そういう意味では、前半の音程とか楽譜的な話が長過ぎる。
終わりに近づくと、やっとリズムとは音楽を作る、聴くの話になって、興味戻ってくる。


目次

音楽とはいったい何なのか?/絶対音感とは何か?わたしにもある?/音と雑音/木琴とサクソフォーンー同じ音でも響きがちがう/楽器の話/どれくらい大きいと大きいのか/和声と不協和音/音階の比較考察/自信にあふれた長調と情緒的な短調/リズム/音楽を作る/音楽を聴く/やっかいな詳細(音程の名前と見分け方/デシベル方式/楽器を五音階に調律する/等分平均律の計算/長調の音)



文中の気になる部分のメモ。


14ページ

音は、大きさ、長さ(音長)、音色、音の高さ(ピッチ)という四つの要素からなっている。



47ページ

あらゆる音楽の音は、ひとつの波形を何度も繰り返すという点で、他の雑音と異なっている。

これは知らなかった。
この本で知った、一番の収穫だと思う。


42ページ

楽器とはすなわち、制御された方法で音を出すように設計された装置である。演奏者が、指の動きや肺の力を使って、何かを望みどおりの周波数で振動させると、音楽の音が奏でられるのだ。


1.弦は、同時に多数の周波数で振動する。なぜなら、波の開始時転における形に、多数の異なる周波数が加わって、全体的なダンスの動きとなるからだ。
2.周波数はみな、整数の比で関連している。なぜなら、振動中の弦の長さは、整数の部分にしか分割されないからだ(弦の両端は動けないから)。弦の「半分」の長さは基本周波数の二倍の速さで振動し、「三分の一」の長さは三倍の速さで振動する。
3.わたしたちに聞こえるのは、もっとも主要な基本周波数である。なぜなら、弦が、この周波数で、複雑なダンスを一サイクル終える音が聞こえているからだ。



58ページ

皿を割ったり紙袋をこすり合わせたりしたときに聞こえる雑音は、互いに関連性のない多数の周波数から構成されとり、反復パターンをもっていない。ところが、あらゆる音楽の音は、反復パターンで構成されている。わたしたちの脳は、ある響きが、反復する波形か、反復しない波形のどちらで構成されているかを即座に判定でき、それによって、音楽の音と雑音を区別しているのだ。

この文章から、著者はフリージャズとかインプロは全く趣味でないのだろうなと思った。

倍音は、多様な楽器の響きを作り出すとともに、ハーモニーやメロディにおいて組み合わせるとよい響きのする音の選択にも影響を与える。



78ページ

ハープのような明瞭な音が出る(フレットがなく、弦をネックに押しつけるだけでは、柔らかい指先が振動をすぐに吸収し「ジャーン」ではなく「ズンッ」という音になるだろう)。



83ペ-ジ

弦の長さは、弦をネックに押さえつけることで変化する。前にも述べたように、このように(フレットを使わずに)弦を押さえてはじくと、「ズンッ」という短い音が出るだけだが、弓を動かすことによって、弦が振動するたびに事実上何度もはじかれることになり、バイオリンの特徴である、長く伸ばして歌うような音が生じるのだ。



85ページ

実際、技能の獲得についてさまざまな研究がなされた結果、ガーデニングから空手に至るほぼどのような活動でも、専門家のレベルに達するには約一万時間掛かると一般的に言われている。音楽にもこれが当てはまり、毎日二時間半の練習を10年間続けることが必要になる。勿論、これはプロ並の技能についての話であって、一週間に一時間練習するだけでも、かなり満足できるレベルにまで上達することは可能だ。



242ページ

調について覚えて置くべきことがらは、四つの短い段落に要約できる。
1.長調は、チームリーダーと強い関係にある七個の[音の集まりである。長調の音楽のフレーズの区切りは、総じて明確ではっきりしている。
2.短調の音の集まりは、メロディのピッチが上昇するか下降するかによって、数種類がある。音の集まりのメンバーは、長調のメンバーほど強い関係にはなく、音楽的な印象は、とりわけフレーズの終わりでは、長調ほど決定的でも明確でもない。私たちは、こうしたより複雑な音の相互関係を悲しさと結びつけるようになった。
3.音楽は、聴き手の興味を維持するために、長調から長調へと転換する。短調から短調に転換する目的も同じである。ある転換では音楽の明るさが少しのあいだ増し、別の転換では明るさが消える。そうした効果は、転換によって引き起こされるものであるため、長く持続しない。
4.長調から短調への転換、あるいはその反対は、曲の気分を大きく変える。その場合、長調の気分(明るい)や短調の気分(悲しい)は消えない。これらは転換の行為だけに結びついたものではないからだ。



269ページ

リズムは、リズムと店舗、表紙に分割できるという論点に戻り、ダンスの場合について考えると、これら三つの要素のうち、リズムがもっとも重要でないという驚きの結論に至る。ダンサーにとっては、音楽におけるそれぞれの音の長さは、テンポや拍子に比べると、はるかに重要性が低いのだ。音楽のテンポによってどれくらい早く踊るかが決まり、拍子によって、どういう種類のダンスを踊るかが決まる。


音楽のテンポはだいたい毎分四十から一六〇拍であり、人間の心拍は、リラックスしていて心拍数が平均より低くなっている状態の約六〇から、健康な成人が裸足になって踊っている時の約一五〇までの幅がある。



272ページ

拍子の変更は、高いレベルの興味を維持するのに有用な方法であり、一小節に七拍子などの珍しい拍子も、不安定や不完全といった印象を与えることから、聴き手の関心をそらさない。しかし、多くの西洋音楽は、リズムで曲単位冒険をしたり凝ったりはせず、一小節の拍数は四拍か三拍で、その拍を単純で規則的に分割するようなものが大半だ。アフリカ音楽やアジア音楽、その他のいくつかの伝統音楽では、ポリリズムの利用など、いっそう複雑なリズムが使われることが多い。
 ポリリズムとは、二つかそれ以上の協調しないリズムを同時に演奏するものである。



277ページ

楽家たちを見ていると、超人的な量の音を記憶して、それらを意のままに再現できる能力があるようなので、こちらのやる気がくじかれてしまう。