自立している女性の話 メトレス 愛人

◎ メトレス 愛人


著者渡辺淳一で題名がメトレス 愛人、ということで読み始めたが、
内容は自立してる女性の話。


50歳の会社社長と5年間の不倫関係の
仕事もでき美人で自立した33歳の女性が主人公。


殆どの友人も結婚し、独身の女性の友人は2名だけ。
親も周りの人々からも結婚を勧められる。


本人は、マンションも購入し、
不倫ではあるが、仕事もできる頼れる、好きな男性もいて
十分満足のいく生活を送っている。


独身仲間だった友人が一人結婚してしまう。
この人は通俗的な人。


不倫相手の奥さんと偶然出会ってしまい、
通俗的な観念から自分の立場を考える。


不倫相手は事故で入院し。
奥さんとは別れての結婚を決意。


結婚を申し込まれるが、
自分の望みは、通俗的な結婚生活ではなく、
自立した生活と関係と
結局、別れてしまう。


時々、何かで読んだり、聞いたりする、
不倫相手が奥さんと別れて結婚を申し込むと、
その不倫相手とも別れてしまうという話しは
こういう状況なのかな?


フランス語のメトレスとは愛人ではなく、
自立した恋人関係のようだ。
女性がメトレスで男性がアマンだそうだ。


著者の渡辺淳一さんのあとがきで

本書の主人公は経済的に自立し、自分なりのライフスタイルをもち、キャリアアップを目指しながら、同時に妻子ある男性を愛している。

と書かれていて、
女性がある程度の歳になったときには結婚していないといけないという
古い考えから抜け出す女性の気持ちを書いた小説。


いやらしい場面は殆どなく、
女性の気持ちが判り易い。


しかし
男性である著者に、何故こういう女性の気持ちが判るのかが
良く判らない。


渡辺淳一さんの作品には、
非常に官能的な作品が有名で、素晴らしいとも思うが、
こういう作品も女性の気持ちを代弁しているようで、素晴らしいと思う。
こういう作品を書けることも素晴らしく、また不思議。
実体験なのか?


1988年、89年の著作なので、
20年以上前に作品だが、
未だに状況は変わっていないのかな。