日本語の機微 井上ひさしの日本語教室

◎  日本語教室


井上さんの出身校である上智大学で、
2001年10月から、毎月4回の講演内容。


講演での話し方をそのまま本にしているので、
慣れるまでが読み難い。
でも、慣れてくると、非常に面白い日本語の話。


特に中盤以降、
68ページの原縄文語からの日本語の変化の流れ図
からの話が面白い。


小太鼓はトントンで、大太鼓はドンドンなど、
日本語という言葉から我々日本人が感じる違いの説明。


母音が口の中のどの部分から音が出るか、
それぞれの母音によるイメージの違い、
同音異義語が多い理由、
言葉を伸ばした場合の意味の相違
など非常に面白い説明。


劇団を主宰、台本を作っているために、
言葉には敏感で、言葉使いの研究は深いようだ。


この辺りの面白い、興味深い話は後半に沢山出てくる。


始まりの18ページには、
母国語と母語の違いの説明。


母語は言葉という道具ではなく、精神そのもの、
第二言語は道具で、母語より小さい範囲でしか習得できない、
だから外国語が上手になるには、日本語をしっかり勉強する必要がある、
とある。


これには全く同意。
自分の経験でも、
日本語できちっと話せない、説明できないことは、
英語では全く説明できない。


最近小学生から英語教育とかあるが、
日本語でも思考力が固まっていない段階の子供が
英語の勉強は意味がない、
混乱を生むだけだと私も思っている。


いずれにしても、この本はお勧めです。
井上ひさしさんの本は少々敬遠していたが、
この本を読んで、言葉の探求の深さに感服しました。


今本の最後に日本語の文法の話も出てきて、
私家版 日本語文法 という著作もあるとのこと。
次は、この本を読んでみたいと思っている。