やる気を出す方法も判る脳の話 海馬 

◎ 海馬/脳は疲れない


仕事をしないといけないのに、やる気が出なくて、
やる気を出すにはと検索すると、
この本に書いてある、との解説があったので、
図書館で借りた。


糸井重里さんと脳学者の池谷さんという方の対談本。


海馬という記憶をコントロールする脳の一部を主にした、
脳の働き、記憶などの話しが盛りだくさん。


30歳過ぎてからが脳が発達するとか、
脳は年齢では衰弱しないとか、
やる気を出す仕組みとか
非常に参考になった。


出版直後に話題になった本だと記憶している。


面白いのが、
神田昌典さんとか成功するための本などに書かれていることを
裏付けるような説明が沢山出てくる。


読み易く、理解もしやすいので、一回読むことお勧めの本です。
4章に分かれていて、各章終わりに、まとめがあるので、
このまとめを読むだけでも、大体理解できると思う。
まあ、全て読んでも大した時間は掛からないが。



気になったポイント。


12ページ

脳の使い方を帰ることで、常に問題を解決するよろこびを感じることができるかもしれません。



16ページ

大人になっても記憶力が低下しないということばかりでなく、大人になってから手を動かすことが、いかに重要かも示しています。絵に描くということは、つまり「一度得た情報をそのまま丸暗記せず、自分の手で描く」という自発的な経験になる。



18ページ

少なくとも脳の大切な機能のうちのいくつかは、30歳を超えてからのほうが活発になることがわかっています。



24ページ

脳の中で「好き嫌い」を扱うのは扁桃体(へんとうたい)というところでして、「この情報が要るか要らないのか」の判断は海馬というところでなされています。
 海馬と扁桃体は隣り合っていてかなりの情報交換をしている。つまり、「好きなことならよく憶えている」「興味のあることをうまくやってのける」というのは、筋が通っているんですよ。



49ページ

脳自体は30歳や40歳を超えたほうが、むしろ活発になると言われているんです。



50ページ

脳は30歳ぐらいから別の動きに入るようです。
 新しいものにすんなりとなじめる人と、なじめなくてそれまでの脳の使い方に固執して芽が伸びないままの人との二極分化が起こるという。
 ・・・・30歳過ぎると、つながりを発見する能力が非常に伸びるんです。



51ページ

推理力は大人のほうが断然優れています。若いときにはつながりを発見できる範囲が狭いのですが、年を取っていくにつれてつながりを発見する範囲がすごく広がって、その範囲は30歳を超えたところで飛躍的に増える。



52ページ

高校生ぐらいの頃に突然背がとまって、その頃から、論理的思考が段々発達していきますが、ただ、その時点では論理的な思考が未熟です。
 実生活に結びつけた論理的な思考は、30歳を超えてから伸びる。・・・・・・・・・・・・・・・
 つまり、ネットワークを密に深めていくことはどんなに年齢を重ねても、どんどんできることなので、「わたしはもう、脳がはたらかないから」ということは、ないんですよ。



86ページ

脳は、みたものを「きっと、こんなものだろう」と決めこんでしまう性質があります。世の中のものをすべていつも疑っていると、精神がまいってしまうから、だから結構思い違いをする。



90ページ

上下が常に逆さに見える眼鏡をかけると、最初はとてもじゃないけど歩けないけれども、1週間も経てば、もうその上下の逆転した世界を当たり前のように感じて歩けるのです。このような、脳の適応性を感じさせるエピソードがあります。



95ページ

脳は、都合の悪いことをすごく嫌います。



104ページ
第一章のまとめ
一 「物忘れがひどい」は勘違い
二 脳の本質は、ものとものとを結びつけること
三 ストッパーをはずすと成長できる

「できないかもしれない」と心配するストッパーをはずさないことには、無意識のうちに能力にブレーキをかけてしまいます。一見「無理だ」と思えることでも、気持ちにストッパーをかけずにやり続けてみると、あなたの能力は飛躍的に向上することでしょう。

四 30歳を過ぎてからは頭はよくなる

あらゆる発見やクリエイティヴのもとである「あるものとあるものとのあいだにつながりを感じる能力」は30歳を超えた時から飛躍的に伸びるのです。

五 脳は疲れない
六 脳は刺激がないことに耐えられない
七 脳は、見たいものしか見ない


130ページ

マジックナンバー7と言って、人間が同時に意識できる限界は七つ程度なんです。



131ページ

「脳は、理不尽なことが起こると最も合理的な方法で決断をする」



132ページ

日常生活は記憶と言う一本の線でつながってますから、海馬がないと時間の軸がなくなっちゃう。これは生活のうえではけっこうキツイです。



134ページ

記憶は海馬の中に蓄えられているわけではないんです。海馬は情報の要・不要を判断して、他の部位に記憶を蓄える。



140ページ

海馬は情報の仕分と言う非常に大切ね役割を担っていますから、海馬の神経細胞の数が多ければ多いほど、たくさんの情報を同時に処理できます。

しかも海馬が大きく発達していると記憶力が高まると言うことは、実験によって確かめられています。人によってだいたい、10%や20%の神経細胞数の違いが出ます。



162ページ

脳の頑固さとはそういうもので、「一回分類をしてしまうと、それ以外の尺度では分類ができなくなってしまう」という性質がある。



165ページ

脳には両極端の性質があって、理性を保つために新しい局面に適応しますが、その反面、可塑性を拒否するような「自分に都合のいいように頑固に現実を解釈してしまう」ということも本能として備わっています。



166ページ

刺激を受け止められるアンテナを持っていないと海馬に伝わらないから、よく受け止められるアンテナがあるといいんですけれども。



172ページ

脳は、思い込んでしまうと袋小路に入ります



第二章のまとめ
一 脳の成長は非常に早い
二 脳は、わからないことがあるとウソをつく
三 マジックナンバー
四 海馬は増やせる
五 旅は脳を鍛える
六 脳に逆らうことが、クリエイティブ


192ページ

「いざと言うときにやる気が出ない」と困りますよね。これは実は、科学的に言っても、アドバイスできるのは「実際にやってみなよ」という一言なんです。・・・・・新しいものを前にしてつまらないと感じるときには、面白さが判っていない場合や無知な場合がほとんどかもしれません。



193ページ

「やる気」を生み出す脳の場所があるんですよ。側坐核(そくざかく)と言いまして、能のほぼ真ん中に左右ひとつずつある。・・・
 ところが、側坐核神経細胞はやっかいなことに、なかなか活動してくれないのです。どうすれば活動を始めるかというと、ある程度の刺激が来たときだけです。つまり、「刺激が与えられるとさらに活動してくれる」ということでして.....一度はじめると、やっているうちに側坐核が自己興奮してきて、集中力が高まって気分が乗ってくる。だから「やる気がないなあと思っても、実際にやり始めてみるしかない」のです。



195ページ

側坐核は海馬と前頭葉(ぜんとうよう)に信号を送り、アセチルコリンという神経伝達物質(神経系の情報伝達に関与する物質。興奮に応じて放出され、シナプスを刺激することによって伝達を行う)を送っています。この物質がやる気を起こします。アルツハイマー病の患者さんはこのアセチルコリンがすごく減ってしまうんです。だから生気がないというか、覇気を感じない状態になる。



196ページ

アセチルコリンっていうのは頭の中ではやる気をつくる物質なんですけれども、腸の働きを活発にする物質でもあるんです。だから、アセチルコリンを抑える「下痢止め」は、腸の働きを抑えると同時に頭にも効いちゃう。
 それと、風邪を引いたときに風邪薬を飲むと眠くなるのも、アセチルコリンのはたらきが抑えられるからなのです。



198ページ

夢というのは、記憶の断片をでたらめに組み合わせていく作業です。ぜんぶを憶えていたら、前後の区別のつかない人間になってしまう。



199ページ

睡眠は、きちんと整理整頓できた情報をしっかりと記憶しようという、取捨選択の重要なプロセスなのです。だから「夢を見ない」とか「「眠らない」ということは、海馬に情報を整理する余裕を与えないことになります。・・・・6時間以下の睡眠だと脳の成績がすごく落ちるということは、ここ2年ぐらいのあいだに科学的な証明がなされました。・・・毎日のリズムを崩すことが海馬に非常に悪影響を与えることもわかってきました。時差ボケのような状況に陥ると、ストレスで海馬の神経細胞が死んでしまうという実験結果が出たんです。



200ページ

眠っている必要がなぜあるかと言うと、外界をシャットアウトして、余分な情報が入ってこないようにして、脳の中だけで正しく整合性を保つためです。



201ページ

眠っているあいだに海馬が情報を整理することをレミネセス(追憶)といいます。・・・・ずっと勉強していて「わからなかったなあ」と思っていたのに、あるとき急に目からウロコが落ちるようにわかる場合がありませんか?それはレミネセンスが作用している場合が多いのです。



202ページ

このレミセンスを生かすには、眠る前に一通り仕事をやってみるという工夫があるといいでしょう。そうすると、眠っているあいだに脳が無意識のうちに考えて、くれるので、仕事もよりはかどると言う・・・夢を見る刺激を与える物質も、先ほどやる気を与える物質と言ったアセチルコリンなんです。ですから風邪薬のようなアセチルコリンを抑えるものを飲むと、情報が整理できない睡眠になってしまいます。



206ページ

痴呆とは神経細胞が死にすぎてしまう病気です。でも、死んでしまった神経細胞はもう二度と生き返らないから、痴呆を回復させることが出来る方法は二つしかありません。つまり、生き残った細胞の「可能性を高める」という方法と、もうひとつは、「生き残っている細胞を死なないようにさせる」という方法です。



208ページ

小さなコツとしては、「自分に対して報酬があると、やる気が出る」などということがありますが、内発的な達成感などもやる気を生み出します。
達成感がA10神経という快楽に関わる神経を刺激して、ドーパミンという物質を出させ、やる気を維持させる。」



209ページ

達成感という快楽をいかに味わうかと言うと、「目標は大きく」ではなく、「目標は小刻みに」と心がける方がうまくいくようです。



210ページ

自分が今どういうレベルにいるのかをわきまえていないと、非効率的に物事を追求してしまう危険性がるんですね。一足飛びには無理なのだったら、まずは途中にあたる課題に取り組んだ方がうまくいきます。スモールステップアップと言いますか

学習の過程で、より多くのミスをしたサルの方が将来的には記憶の定着率がいいのです。



211ページ

脳は、消去法のように、「ミスをした方向に再び進まないように次の道を選ぶ」という性質があります。

脳をはたらかせる細かいコツは、沢山あります。ブドウ糖を吸収した方がいいとか、コーヒーの香りが脳のはたらきを明晰にすると言うこともいえます。



212ページ

扁桃体を働かせる卑近な例としては、「感情に絡むエッチな発想をすると物事を憶えやすい」



第三章のまとめ
一 記憶力を増す食べ物は、あることはある
二 やりはじめないと、やる気は出ない
三 寝ることで記憶が整理される
四 参加することは腐ること
五 失恋や失敗が人をかしこくする
六 生命の危機が脳をはたらかせる


220ページ

「ここまででいいや」と思い込もうとするストッパーをはずし、脳に情報を洪水のようにあふれさせると、人はどこまで行くことができ、何をすることができるのか。



274ページ

脳は、あるものをこうだと決めて考えてしまうと、そのように固定してしまう。



277ページ

人生においてやりかけのことだけが募ってくると、当然、誇りは生まれないだろうと思います。誇りを生むためには、ちょっとでも完成したものを残しておくというか、そうしないと、自信って出てこないですよね。



279ページ

インターネットの発展に伴って、情報の行き来が早くできるようになったために、科学のあり方も変ってきています。閉鎖系から開放系に移っています



280ページ

言語化することの良い面と悪い面って、すごくありますね。言語化することで何かが明確になる場合と、言語化することで固定観念が作られてしまう場合と・・・



第四章のまとめ
一 受け手がコミュニケーションを磨く
二 センスは学べる
三 やりすぎてしまった人が天才
四 予想以上に脳は使い尽くせる

「脳は使い尽くせるんだ」と気づくことができたら、どんな年齢であっても、脳の力を伸ばしていけます。ふと「これ、おもしろいなあ」と感じることはとても大切なことです。・・自分の視点にひとつ新しいものが加われば、脳の中のパターン認識が飛躍的に増えますので、新しい視点の獲得をくりかえせば、脳はそれらの視点を組み合わせ、驚くほどおもしろい考えや発見を生み出していくのです。

五 問題は一つずつ解こう

問題を背負い込んでしまいがちな人は、解決するべき問題を一つずつ紙に書いてみるといいかもしれません。問題を一つずつ明らかにして、ひとつずつ個別に解いていけば、きちんと解決することができる場合がほとんどですから、脳は達成感を快楽として蓄えます。人生においてやりかけのことだけが募ってくると、達成感は生まれてきません。達成感を生むためには、小さな目標を設定して、ひとつずつかいけつしていくといい

六 言ってしまったことが未来を決める

脳は、ひとつのこと決めつけたがり、なおかつ安定化したがります。自分があらかじめ言ったことに対しても安定化しようとします。いいことを言うとその通りになる。悪いことを言ってもその通りになる。いい意味でも悪い意味でも、言葉は呪いみたいなものです。だったら、未来に対しては素敵なイメージを思い描いた方がいいでしょう。

七 他人とつながっている中で仮説には、意味がある


あとがき
288ページ

「可塑性」脳がコンピューターと決定的に異なるの点は、外界に反応しながら変容する自発性にある。だからこそ、プロセス重視の行き方がより人間らしい存在に直結すると、私は自信をもって言える。問われるのは、結果そのものではなく、そこに至る過程である。



289ページ

優しさとは支援、救助、保護といった具体的な結果を指すのではない。むしろ、他者を思い、労わり、煩うというプロセスこそが「優しさ」の枢要な基幹をなしている、



290ページ

試行錯誤、探求と失敗の繰り返し、人生はいわば編集作業だ。私たちの孫坐目的の少なくとも1つは、過去の文化遺産を受け入れ、それに付加価値を与え、未来に引き渡すことにあるように感じる。



291ページ

つながりを発見するためには、ときに従来の常識に打ち克ち、固定観念を打破しながら奮進することが必要となる。暗黙の拘束を崩壊させる勇気。まさにエネルギーを要する作業だ。