ミステリー小説のような構成力 影武者徳川家康

◎ 影武者徳川家康〈上〉


全く知らない本だったし、
著者名は時々見かけていたが、全く知らない作家だった。
「不眠本中の不眠本」とあるブログで紹介されたので読み始めた。


家康が影武者だったという話し自身も聞いたことがなかった。


家康の影武者だった世良田二郎三郎と
家康を殺した忍び甲斐の六郎、豊臣方の武将島左近が協力して
影武者家康が生き延びることを助ける。


関が原の合戦で家康が殺されてしまい、
影武者の世良田二郎三郎が、その後家康として生き、
家康の息子で二代将軍になった秀忠との争いを続ける。
二郎三郎は最終的に家康として亡くなる。


話しは関が原で家康が殺される場面から始まって、
二郎三郎の幼児から影武者になるまで、
家康の子供たちや大名、武士などの話しと
多岐に渡って繰り広げられる。


小説としては珍しく、
途中でいくつもの江戸時代などの記録、現代の研究書なども参照したり、
関が原以前、以後で家康が大きく変わったことなどを述べ、
如何に影武者説などが正しいかなどを述べていく。


この著作のために、膨大な資料の検証をし、
話しの組み立てがされているのだろう。
この辺の組み立て方がミステリー小説、推理小説などを読むようだった。
侍物、歴史小説だが、推理小説ファンにも楽しめる作品。


文庫で3分冊で、各冊は550ページほどの大作です。


家康が影武者だったという発想は凄いなと思ったが、
明治35年出版の 史疑 徳川家康事蹟 覆刻版+現代語訳 (著者:村岡 素一郎)が出発点だそうだ。


その後、家康影武者説はいろいろな小説にもなっているそうだ。
徳川家康の影武者説 at Wikipedia


今度は、この本を読んでみたい。



中巻と下巻


影武者徳川家康〈中〉


影武者徳川家康〈下〉