非常に新鮮な話の展開方法 私の男

◎ 私の男 (文春文庫)


ネット記事で海外映画祭で非常に受けている映画として紹介された「私の男}。
その直後に本屋でたまたまこの文庫本を発見し購入。


何気なく購入し、何気なく読み始めた。


初めは不思議な話。
不思議な親子、父娘。
何だか変な感じ。


第二章では娘”花”と結婚する相手から見た、3年前の話。


章を追うごとに、数年ずつさかのぼって、関係者から見た話で、
初めの謎を少しずつ解いていく。


この小説は、推理小説でないが、話の進め方が推理小説的な感じ。


最後まで読み終わっても、
大昔の問題は説明されず、
読者に解答を想像させるだけ。


文章も良いし、話も面白い。


直木賞受賞作品だそうだ。
直木賞などに興味はないが、
有名な賞の受賞作品は、良い作品なのだろうなと思わせる小説だった。


読み始めから、何となく変で、妖しい雰囲気の小説だが、
父娘ともに、家族に恵まれず、それぞれが血縁を一番大切に考えている。
家族の絆が主題なのだろうか?


380ページ

「死に別れても、だから、それは別れじゃないんだ。自分のからだに血が流れている限り、人は、家族とはぜったいに別れない」



この本もお勧めの本です。



この本を読んでいるときに、
映画が公開になると思って検索。


たまたま読んだブログに、話の展開が書かれていて、
読んでしまって、がっかり。
本を読んでいる最中に、
その先の話のまとめ、ネタバラシを読むべきではないな。
特に、この本のように推理小説的な展開の本では。


解説で、やはり先入観を持たずに読んだ方がいいと書かれている。
確かに。


解説者は、著者の桜庭一樹さんの作品は初めはライトノベルで興味がなかったとも書いている。
この前の作品赤朽葉家の伝説にも触れている。
次は、この本を読みたい。