一族の物語 赤朽葉家の伝説

赤朽葉家の伝説


映画が評判とのネット記事から原作本 私の男 を読んで感激。
その解説から、この本、 赤朽葉家の伝説 を読んだ。


1953年から始まる、祖母、母、自分の3代に渡る女性を中心にした一族の物語。


サンガとかノブセ、サイガイと呼ばれる山に住む人々に置き去りにされた祖母の
幼少時期から始まり、
予知能力のある、この祖母が、
大昔、韓国から渡ってきて、鉄鋼会社を経営する地元の名家「赤朽葉」に嫁入り。
そして、その子供たち、孫の話、2000年までにつながって行く。


一族、家族、鳥取という地元、サンガという不思議な昔の人々などを
それぞれの時代背景を絡めて、物語が進んでいく。


語り口、時代背景を取り入れた流れ、
最後には秘密を解き明かすミステリー要素。


物語の壮大さ、時代を思い出す面白さ。
素晴らしい物語。


読み始めでは、日本推理作家協会賞を受賞したのか判らなかったが
第三部目の孫の謎解きで、その理由が判った。


久々に素晴らしい小説を読みました。
お勧めの作品です。


私の男 でも親子の血縁という話だったが、
この 赤朽葉家の伝説 でも
一族という血のつながりを中心に話が進んでいく。


著者は桜庭一樹さんですが、
Wikipediaで初めて、著者が女性だと知った。
女性だからこそ、血のつながりが物語の裏にあるのだろうか?


第一部の祖母の物語では、
幻想的な中国地方、昔の地方の様子が凄い迫力。


この著者、桜庭一樹さんの著作をもっと読みたくなった。


また、あとがきで言及される、ガルシア・マルケス百年の孤独も読みたくなった。



著者による「文庫版あとがき」での、この物語がどうできてきたかの説明が面白い。


担当編集者から言われで、この小説を書き始める顛末が判る。

桜庭さんには全体小説が掛けると思うんですよ。個人があり、家族があり、国の歴史があり、労働があり・・・・すべてが詰まったおおきな小説を、ぜひ」そう言われて、えーっと天井を見上げるうちに、これまでに読んできたさまざまな”おおきな小説”が連想されて、まんまとわくわくしてきた。そして「全体小説かぁ・・・」とつぶやいたときには、確かに自分もそういうものを書いてみたい、という気持ちになっていた。

つまり、ルーツをたどると移民の一家であり、繁栄し、しかし国がうまくいっているときは一族も安泰だが、未来に影がさすときにはともに没落していってしまう・・・・まるで国の運命そのものを体現するような、一族。



非常に素晴らしい、読んでいるとワクワクする、物語です。
お勧めです。