破戒 島崎藤村

◎ 破戒


ブックオフで108円本で見つけて購入。


島崎藤村の破戒は、多分、小学校の勉強で名前だけ知っていた。


内容は差別の話で、驚き。


明治時代の小説なので、
”新平民”などという多くの言葉、漢字、仮名遣いなどが判り難いが
読み進んで判ってくる。


新平民とは、
明治初期にこの制度が廃止されたが、
士農工商より下に、穢多・非人という身分があり
それでも差別用語として新平民と呼ばれた。


初めて”穢多”(エタ)という言葉、身分を知った。
非人と言う言葉は、学校で習ったが、穢多と言うのは知らなかった。
非人と言う言葉も、単に聞いて知っていただけだった。


この小説の主人公、小学校教師 瀬川丑松は、穢多出身。
通常は穢多の出身では、差別で教師としては採用されない。
父親からは絶対にその出身を秘密にしろ、と言われていて
その秘密を守ることへの葛藤を描いた作品。


自分は出身を秘密にしていながら、
尊敬している解放運動家、思想家の猪子蓮太郎は、穢多であることを公言している。
この辺も葛藤の一部になっている。


この小説を読んで、
全く知らなかった穢多、言葉は知っていたが非人、
という差別された人々、身分の人々の苦しみ、葛藤、差別のひどさを知った。


これらの言葉、身分は
現在では殆ど意識されていないのか、知られていないのか、
一般の歴史書、小説などでは語られない。
この小説から少々歴史を知ることができる。


言葉使いの違いなどからも、歴史を感じる。
言葉が変わっていくことを実感できる。


この破戒は、どこの図書館でも蔵書されているだろうし、
青空文庫で無料でも読めるし、
一度読むことをお勧めします。