歴史を知る旅のようだ 「日本の路地を旅する」

◎  日本の路地を旅する


渋谷や新宿の横丁の飲み屋街の話かと思って購入した本。
路地とは、部落などの別名だった。


書名を見て、中上健次の本をと言った女房が合っていた。
最初の”プロローグ”では中上健次の墓地訪問から始まっている。


著者の上原善広さんは、6歳まで大阪の更池という路地で育ち、
その後、全国の路地を巡る旅をしている方。


6歳まで育った場所への懐かしさ、
家族が暮らした場所という懐かしさからか、
北海道から沖縄まで、昔の路地を巡る旅の記録。


破戒を読んだ直後に、この本を読む偶然も面白い。


この本も、歴史をたどるような話。
呼び方、穢多の人々の仕事、現状など、各地での違いも面白い。
穢多と非人の違い、同じ地域で生活していた地方、
また、路地であったことを隠す地方、人々と、公言する地方、人々、
忘れ去られてしまった地方などの相違もある。


元々、穢多の人々は牛馬などの皮をなめす仕事が始まりのようで、
それに関連した、屠殺、肉の販売、太鼓・三味線などの皮張、靴作りなどを仕事としていた。
皮のなめしでは、悪臭がきついそうで、嫌われる仕事だそうだ。
牛馬の処理から派生したのだろう、罪人などの処刑後の処理なども仕事としていた人々もいた。


こういうことから、嫌われ、差別されたようだが、
一方、革の取り扱いでは独占の権利も持っていた。


大宅壮一ノンフィクション賞を受賞いた作品で、
読み応え、歴史を知る、素晴らしい作品です。
この本もお勧めです。