謎解きが面白い作品 和解せず

◎  和解せず (光文社文庫)



私は、藤田宜永さんの作品には、
探偵物と艶っぽい小説(艶物)があると思ってて、
艶物の作品が好きだ。


藤田さんは中年頃から艶物を書き始めたようで、
自身の執筆時の年齢に近い職人が主人公で、
その職人もそれぞれの小説で違っている。
それも可也特殊な職業の職人が多く、
作業内容などの細かい描写などに感心することが多い。


主人公が自然な流れで、
同年代か少々若い女性との少々色っぽい話になり、
最後は大体別れてしまうことが多いようだ。


藤田宜永さんの艶物を全て読んだと思っていたので、
この「和解せず」を本屋で見かけ、初めの部分を少々読んで、
艶物だと思い、意外だった。


しかし、この作品は、艶物と探偵物の中間的位置の作品のようだ。


クラシック音楽のプロモーターが、
遺言だと父親の葬儀の場から弟に追い返され、
父親の昔の愛人と遭遇し、バーで飲む場面から始まる。


この辺は、いつもの艶物だが、
その父親との仲たがい、
自分が招聘したクラシック演奏者が麻薬で捕まり興行が台無しになり、
事件が数件起きてくる。
これらの理由を紐解いていくと、
いろいろなことが、糸のようにこんがらがっていき、
それを段々と紐解いていく。


色っぽい部分もあちこちにあるが、
謎を紐解く面白さもある。
という意味で、探偵物と艶物の中間的な作風の作品。


この本もお勧めの小説です。