文明は破滅へ向かっている 暴走する文明

◎ 暴走する文明―「進歩の罠」に落ちた人類のゆくえ



ゴーギャン
「われわれはどこから来たのか? われわれは何者か? われわれはどこへ行くのか?」
と言う言葉から始まる。


地球、人類の成り立ちから説明が始まり、
どこから来たか、何者かに答えを出そうとしている。


人類・文明の発達過程から見て、
どこへ行くかの答えを引き出そうとしている。


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アルバート・アインシュタインはこう書いている。「原子から解き放たれた力は何もかも一変させてしまいました。唯一、私たちの思考法だけが変わらないために、世界は未曽有の破局へと押し流されていきます。」



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本章では、旧石器時代の幕引きとなった狩猟時代の完成という最初の進歩の罠から、何が推論できるかを取り上げたい。さらに、農耕の発明によってその罠から逃れたことが、私たちの最大の実験である世界文明につながった経緯を見ていく。そのうえで、文明そのものがもう一つの、もっとすっと大きな罠ではないかという差し迫った問いを問わなくてはならない。



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しかし、これら二つの例を文明全体の典型と考えていいのだろうか?文明というのは本質的に適応力を欠き、内部の力学によって破綻する実験でしかないのだろうか?世界中の遺跡はそう証言しているようだ。



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文明は生態系への要求が極大化した絶頂期にもっとも不安定になる。富やエネルギーの新たな源泉が見つからないかぎり、生産量を引き上げる余裕も、自然のゆらぎによるショックを吸収する余裕もない。さらに前進する唯一の道は、自然と人間から新しい借入金を搾り取り続けることだ。



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古代文明は一般に都市国家システムと中央集権帝国の二つに大別できる。新旧いずれの世界でも、二つのタイプはそれぞれ独立して発祥した。帝国が共和国を呑みこむにしたがい、ローマは前者からから後者へと変質した。



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ローマ帝国がなぜ凋落したかの説明は、疫病、鉛毒、狂気に冒された皇帝たち、腐敗、蛮族、キリスト教などじつに幅広い。



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>>ぐn
これまで見てきた四つの例の中で、イースター島とシュメールの二つは生態系の再生限界を超えたために回復できなかった。残りの二つ、ローマとマヤは、生態学的負荷がもっとも大きい中核地域で激しい崩壊を引き起こしたものの、複数の社会がそれを生きのびて、現代まで末裔を残しいている。・・・・・・・・・・・・・・
しかし、ここで疑問がわく。もしそれほど自滅する文明が多いとしたら、なぜ文明という実験全体ではこんなにうまくいってきたのだろう?・・・・・・・
その答えの一端は、自然の再生と人類の民族移動に求められる。古代文明はどれも局所的で、特定の生態系に食糧基盤があった。一つの文明が滅びれば、また別の場所で別の文明が興った。地球の大部分は、いぜんとして人口希薄なままだった。