できる人のモデル思考力 -データモデルはこう使え!! / 勝藤 彰夫, 石ヶ森 正樹

2005年8月に出版された本。
著者の2人は、昔(1991年から1997年)の会社の同僚で、題材にも興味があったので
2005年12月に購入したが、積読だった。
新しいプロジェクトで、データモデルなどを作成するのでやっと読んだ。


できる人のモデル思考力 -データモデルはこう使え!!


本書にあるように、本来のデータモデリングは、
ビジネスポリシーに従って、
エンティティ(本書では実体と呼んでいる)を抽出し、エンティティ間の関係をつけて
ビジネスを表現するもののはず。
エンティティ抽出の方法をネットとか、書籍でさがしたが、他にはないようだ。
本書で記述されている、エンティティ抽出、関係付けの方法を方法論としてまとめると
システム開発の要求定義に対応できる素晴らしい方法になると思う。
本書を読み終わると、方法の部分がマーカーでまっ黄色になってしまった。


ビジネスマン向けを目指しているようで、IT用語とは少々違う言葉使い、説明。
でも、ビジネスマンにはデータモデルでは受けるのかな?
本書の初めが、業務知識の整理、モデル化の説明があり、
この辺がビジネスマン向けなのでしょう。


本書は、業務のモデル化、要求定義などの分野で
IT業界には非常に役立つ本だと思われる。
SEに読んで欲しい本です。


大企業などでは、既に殆どの業務がシステム化されているので、
システム開発、改修の際に、現状のシステムをDFD化し、そのデータをERDに書き直し、
このERDを検討することで、システム自身の検討には適当なのかとも考えられますが。
それでも、ビジネスを可視化するためには、ビジネスの基本のエンティティは何か、
その関係は何かを考えるERDは必要だと思う。
この実施方法を助けるのが本書の後半部分でしょう。


本書は、ビジネスマン向けを目指しているためか、
エンティティを実体、リレーションを関係と言い換えている。
関係は良いのだが、実体はどうもなじまない。
これは私だけなのかな?


他にデータモデリングで理解したいのは、
ヒストリカル・データの持ち方だな。
これは昔からの疑問で、いまだに理解できていない。


Amazonでデータモデルで検索すると、
検索結果は、殆どがデータベースとかリレーショナルデータベースとかになってしまう。


現在のIT業界で言われているデータモデルもしくはERDはDB設計の手段になっている。
本来のデータモデリングとは違っている(と思う)。
現在のERDは、DFDの結果とか、付け足しで作成できるような取り扱い。
これは、モデリングの難しさから逃れるために、IT業界が意味を変えてしまったのだと考えている。
ADSGなどを見ても、この傾向です。