下町工場経営者の中年女性の恋話 いつかは恋を

いつかは恋を


この作品も女性が主人公。
夫に先立たれて久しく、嫁ぎ先の東京の下町の町工場を支える57歳になった女性の恋話。


高校生で妊娠、堕胎、退学を経て、親元を離れる生活、それが原因で夫が悩み、子供が家を出る。
舅が怪我をしてタクシー運転手との出会い、その運転手が刑事時代の事件をいまだに追いかけていること。
自分の工場での事件、家を出た子供を思っか近所の子供を集めてのベーゴマの集まり。
など多くの小さな話を組み合わせて、恋話として流れに乗せる、いつもの藤田さんの書きぶり。


組み合わさっている小話が、大きな話ではないので、淡々と読み進める本。
こういう書き方も味があり、お勧め。


この本が最新刊なのか、まだ文庫本にはなっていない。


4月に読んだセカンドライフから始まった藤田宜永作品の私の読書も、これで終わりのようだ。
随分と沢山読んだような気がする。
推理小説もあったが、やはり中年男の艶話が一番よかった。
一度まとめないといけないな。