富島健夫さんの自叙伝的青春小説 青春の野望

島健夫さんの自叙伝的小説。


終戦で朝鮮から帰国した少年が
福岡県豊津中学2年に編入するときから話が始まる。


豊津での中学、新制高校生生活が1部、2部、
そして早稲田大学での同人誌仲間での話しが3部から5部。


豊島さんは”おさな妻”などの少々イヤラシ系の小説が多いので、
当然、このシリーズも3割程度は色っぽい話。
しかし、終戦直後の時代背景、歴史など
当時の生活模様がいっぱいの話が豊富。
終戦直後の田舎生活、引揚者の生活、田舎での差別などの様子、
東京でも少々田舎だった埼玉県での学生生活など、非常に面白い。


5部になると何故か半分以上が女性との絡みの話になてしまう。


主人公の若林良平は”凄く”モテル。
もて過ぎで、異常。
もて過ぎなので”自叙伝的”なのだろう。
女性との絡みは創作が多いのだろう。


3部からの学生生活の下宿は、埼玉県。
東武東上線成増から歩いて15分という埼玉。
多分、成増から坂を下って、白子川を越えた山道の途中。
我が家の直ぐ近くで、大体のエリアが判る。
自分の子供の時の記憶と重なる部分もある。


5部のあとがきに”東京・常盤台にて”とあり
富島さんは近いエリアに住んでいたという親近感も感じる。


朝霞米軍基地、今の光が丘にあったグランドハイツなど
この近所には米軍の人々が多く、
その関連の女性も多かった。
この女性達も小説に出てくる。


早稲田周辺での飲み屋、高田馬場、池袋の飲み屋など、
これも、なんとなく親近感。


渡辺淳一さんや、藤田宜永さんの”自叙伝的小説”も面白かったので、
少々色っぽい小説家の自叙伝的小説は面白いようだ。


しかし富島さんの、このシリーズは30年も前の作品で、
今では増刷もされていない様子で、新本は少なく、
また図書館でも置いていない場合が多いようだ。
板橋区図書館には蔵書されていない。
色っぽい本はダメなのだろう。



◎  青春の野望 第一部 錦が丘恋歌

◎  青春の野望 第二部 愛と夢と現身と

◎  青春の野望 第三部 早稲田の阿呆たち

◎  青春の野望 第四部 学生作家の群

◎  青春の野望 第五部 人生、進むべし