ワイルド・ソウル / 垣根 涼介

各500ページ近い文庫本、上下の2冊。
非常に長い長編。
1961年にアマゾンに移住する日本人達の話から始まる。
ヒートアイランドで垣根さんのハードボイルド著作に感激して読んだのに、
130ページほどはアマゾンの話が続く。
昔の日本政府の愚策を訴える本で、ハードボイルドではないのかと思った。
上巻の後半から、ハードボイルドタッチになる。
スピード感も仕掛けも良くできた話。
ヒートアイランドと同じように非常に良くできたハードボイルド。


数ヶ月前に、訴訟のニュースで知った”ドミニカ移民訴訟”に
代表される日本政府の愚策と、その悲惨な結果が良く理解できた。
何故、日本政府、役人、政治家はダメなんだろう、国民のことを考えないのだろうか。
考えさせられる作品でもあった。


最後の30ページほどのエピローグでの
ハッピーエンド風の話は、つけたしのようで余分だと思うが。
この部分は、ヒートアイランド続編のギャングスター・レッスンのようだ。
どうも著者の垣根さんは、こういう作風なのか。


次は、午前三時のルースター (文庫) を購入済みなので、これを読もう。


但し、垣根さんの南米好きはラティーノ・ラティーノ!―南米取材放浪記 (文庫) 幻冬舎で判りそうなので、
これも読んでみたい。
この本は、185ページという厚さなので、中身はハードボイルドではなさそう。


書籍:
ワイルド・ソウル〈上〉
ワイルド・ソウル〈下〉