変な設定で面白い 子宮の記憶

数ヶ月前に、はまって読んでいた藤田さんの本。
以前読んでいたのは中高年の艶物だったが、これはミステリー的?
◎ 子宮の記憶 <ここにあなたがいる> (講談社文庫) 藤田 宜永
設定が面白い。
生後直後に自分を誘拐した女性を探し、この人としばらく暮らす話。
探し出すところがミステリー的なのかと思っていたが、この場面は直ぐに終了。
その後の一緒に暮らす場面が殆どを占める話。
人の機微というのか、少々変わっている人々の気持ちを書き出している。
そういう意味では、艶物もそれぞれが人の微妙な気持ちを表現しようとしているから、
同じ類の小説とも思われる。
但し、この小説は艶っぽい部分は殆どない。


藤田さんのハードボイルド系作品では、
こういう人の機微は感じられず、長編で少々疲れを感じる。
未だ読んでいない藤田さんの作品に、もっと面白い作品があるのかとも思う。



映画好きの娘に言われて思い出した、
この小説は元々はキッドナップという題名だったが
2007年の映画化と共に”子宮の記憶”に改題された。
映画は松雪泰子主演。
映画では舞台は沖縄だそうだが、小説では真鶴。
主人公が東京からバイクで行ける距離では真鶴程度の距離なのだろう。


参考:
DVD 子宮の記憶
藤田宜永 @ Wikipedia