3部作のように感じた うたかた / 渡辺淳一

◎  うたかた 渡辺 淳一


また渡辺淳一の本を読んでしまった。
以前は何となく好きでなかったが、愛の流刑地を読んで考えが変わった。
その後、失楽園も読んだ。


この”うたかた”も、愛の流刑地失楽園と登場人物、話の流れが似ている。
執筆年代的には、うたかた=>失楽園=>愛の流刑地、となっていて
内容的にも、この順に書き直された作品のように感じる。
”うたかた”は純粋な中年の男女の愛の話で、
失楽園”では、愛の局地という形に行き着き、
愛の流刑地”では、これが社会常識への反発という主題が入ったように思われる。


渡辺淳一さんの書籍を沢山読んだわけではなく、
たった4作だか5作しか読んでいないが、
たまたま同一の流れの作品を読んだようだ。
この本の解説で林真理子さんが同じようなことを書いている。


年代的に逆順に読んだので、面白みを覚えて、別な作品もと思って読んだが、
”うたかた”を始めに読んだら、多分次は読まなかっただろうと思う。
渡辺淳一さんの作品は後年の作品ほど面白いのではないのかと想像している。


こんな分析をしている人はいないのか?
さあ、次は渡辺淳一さんのどの作品を読むべきか?


参考:
渡辺 淳一 @ Wikipedia
愛の流刑地〈上〉渡辺 淳一
愛の流刑地〈下〉渡辺 淳一
失楽園〈上〉渡辺 淳一
失楽園〈下〉渡辺 淳一