奇想天外な話も面白い 魔女の笑窪

◎  魔女の笑窪 (文春文庫)


久々に大沢在昌作品を読んだ。


全く知らなかった本。
地獄島という警察権力も暴力団の力も及ばない売春島から逃れてきた女性が主人公。
島から脱出後、裏社会のコンサルタントという仕事で成功している女性。


初めは、バラバラの連続物語かなと思っていたが、
段々と話がつながって行き、最後は地獄島を滅ぼす。


ここまでのつながりの話が面白い。
しかし、地獄島との戦いに移ってからがページ数が少ないなと思ったら、
意外な展開で割と簡単に島は滅びる。
この辺は著者も飽きてきたのかな?


大沢在昌作品は、いろいろな色があり、面白い。
この作品も面白い。
新宿鮫シーズしか知らない人には読んで欲しい作品。


続編もあるとのことで、
魔女の盟約 (文春文庫) を注文してしまった。
やはりシリーズは全て読まないと面白くない。


地獄島は九州天草にあるとの設定。
でも話の中心の神社は、

「川口熊井総本家は、同村根越地区にある村社正大岡神社(祭神健御名方命・八坂斗売命)の神官吉田家とは縁が深く」の箇所は、大沢在昌『魔女の笑窪』(文春文庫362頁)の「間垣家には本家と分家があり、本家は大地主として熊本で病院や不動産の経営にあたり、分家筆頭が九凱神社の神主として地獄島を治める」との記載部分を、「間垣家」を「熊井家」、「九凱神社」を「正大岡神社」、「地獄島」を「更級郡大岡村字川口」と読み替えたら、分かりやすい

とのことです。
http://www.asahi-net.or.jp/~yk7y-kmi/sub470.htm から


本文内で気になる部分。
181ページ

女は金で買えるサービスが好きだ。食事の内容よりもレストランの雰囲気を優先したり、何人ものエスティシャンに奉仕させるのに歓びをを感じるのは、サービスそのものもさることながら、それをうけられる自分の立場に酔う楽しみがあるからだ。
男はちがう。たとえば男は娼婦に恋をする。女は娼夫を買える自分に恋をしている。だから払った金に見合うだけのサービスを、どれほど馴染になった相手にだろうと、常に要求する。

確かにと思う。
巻末の解説で女性ライターが著者が何故ここまで女性心理が判るのかと書いている。
大沢在昌というハードボイルド作家が、何故女性心理をここまで語れるのかということは、
本当に不思議。