日本の生き残り方の助言の本 言葉でたたかう技術

◎  言葉でたたかう技術


著者の加藤恭子さんは、終戦直後からご夫婦でアメリカへ留学され、
長らくアメリカ生活をされていた。
アメリカ生活を通して、
欧米、世界で通用する他人との話し方、接し方などを助言。


これは、個々人への助言だけでなく、
日本の政府、官庁などへの助言になっている。


日本人への苦言と言うわけではなく、
日本、日本人の良さを説明しながら、
でも、世界へ出る場合は、その良さが、弱点になるという。


パーセプション・ギャップということで、
日本人の感性が如何に世界では通用しないことを説明している。


日本人の説明は、欧米的でなく、アリストテレスの弁論術を勉強すべきだそうだ。
アリストテレスの弁護術は欧米人の思考方法、説明方法の基本だそうだ。
翻訳本は世界古典文学全集 16 アリストテレス が良いとのこと。


弁護術に基づいた論述の方法は
①導入部分(序論)
②主要部分(本論)
③結論部分(結論)
に別れ、それぞれの部分が、また
A.トピック・センテンス
B.主要部分
C.結論センテンス
で説明する。かつ、各部分は直前の説明を引き継ぐ。
弁護術も、一度、読みたい。


気になった部分。


109ページ

こんな国が、大陸にあるだろうか?私たちは、自分たちがいかに温室育ちかを自覚する必要がある。お坊ちゃま、お嬢さま育ちかを。だからこそ、他への思いやり、正直、謙虚んどと、多くの外国人たちが指摘した日本人の”美質”が保たれたのだ。そして鎖国政策により、その特殊性は、繭にくるまれたようにして純化され、受け継がれていった。



180ページ

「このような相互性は、以心伝心にお互いの気持ちをwかり合う日本的なコミュニケーションと表裏をなし、お互いに気心の通じる者同士として、特別な契約やルールを設定しないでも、自然に相手の気持ちを察して事を運んでいく一つの日本的な才能にもなっている。



184ページ

日本人にとっては、”当たり前”と見えることでも、わかってくれていると思ってはいけないのだ。外に対しては説明し、発信しなければと、改めて感じた。

258ページ

対外的に強く発信しないと、向こうの主張が正しく、こちらは「魔女」にされてしまう。こちらの意見に耳を傾けず、言いがかりをつけてくるような強い態度に出てくる相手には、こちらもより強く出る。国際会議の場、種々の会合、メディアなどで、英語やそれぞれの言語を用い、「証明、または証明らしきもの」を示しつつ、相手の非を繰り返し繰り返し主張する。



まとめの268ページ

その世界で中での日本の致命的な欠点は、世界へ向けての発信力が弱いということである。「言挙げせず」「人間皆同じ」ーー自らが行いを正し誠意を暗黙のうちに示せば、相手は解かってくれると思う。「雄弁は力なり」の正反対である。そして、この雄弁力に欠けるために、日本人が外の世界でどれだけ損をしていることか。



日本が世界で生きていくためには、自己主張が必要だ。
判っているだろうという日本的な感覚では、世界では通用しないということだ。



著者は現在は80数歳の高齢だが、
この本は去年終わりに出版し、しっかりとした方。


その後、73年からは上智大学で教鞭をとられたという。


私が卒業した年に上智に来られたようで、接近遭遇していた。


また2冊のモーゼスおばあちゃんの絵に関しての著作があり、
モーゼスおばあちゃんを日本に紹介された方だそうだ。


2年ほど前に偶然行った諏訪湖脇の美術館で、
モーゼスおばあちゃんの展覧会を見たことがあり、
ここでも縁がある。